【絵本ノート】月のかがやく夜に がんと向き合うあなたのために
子どもに絵本を読んだらアプリで記録している。
以前購入した「つきのかがやくよる」というタイトルの絵本を久しぶりに読んだので、登録するのにあたり「つきのかがやく」まで文字入力して検索したところ、この本も表示された。
先日、同級生によるがんの告知をFacebookで見たこともあり、図書館で予約してみた。
がんになったお母さんが、子どもたちに自分の病気について説明する絵本だった。巻末には監修したお医者さんによる「がんについての解説」や「お医者さんとの上手なコミュニケーションのとり方」、「患者としての体調などを記録するチェックシート」もついている。
20年前に出版された絵本なので、もしかすると治療法などはもっとよくなっている部分もあるかもしれない。コロナ禍で「病院に会いにくることもできるのよ」というわけにはいかなくなっただろうけど、世の中にこういう絵本もあるのだと、参考になった。
「いままでとおなじように、したいことを一緒にしましょう」
「だから、ふたりは、かわらずおなじようにしていいのよ」
「心配になったり、こわくなったときには、だれかに、話をきいてもらうのがいちばんいいの」
学校での出来事を話したりして、子どもたちが楽しくしている姿を見るとイヤなことも飛んでいってしまう、そばにいて一緒に笑えればそれでいい。
涙は気持ちを楽にしてくれるから、大丈夫。
そんなことが書かれていた。
もし、自分ががんになったらどんなふうに子どもたちに伝えられるだろう。
夫の母は夫が成人する直前にがんで亡くなっているので、どんな様子だったか聞いてみた。
「まぁ、もうどうにもできない段階での告知だったから、しょーがねぇな、って感じだったかな。弟はすげぇ泣いてたけど」
そうですか。そうですよね。
がんの遺伝リスクはよくわかんないけど、夫にはせめて年に1回は検査に行っていただこう。
そんなことをボンヤリ考えていたら、元の上司が亡くなったという連絡がきた。60代半ばである。がんが転移して、急変だった、とのこと。
たしか6年前に同じ職場だった。
料理が得意で、単身赴任中のお宅に手料理をごちそうになりに同僚たちと行った。ビールやらワインやら日本酒やら、チャンポンで飲みすぎて、あろうことか上司宅のマッサージチェアに転がって眠ってしまった苦い思い出が蘇る。あやうく顔にバカボンパパ並の鼻毛書かれそうになってたよ、と同僚が教えてくれた。そうだ、上司はイラストもとても得意な人であった。
単身赴任が明けて、家族の住む家に戻ってからたぶん5年くらいしか経ってないはず。お子さんたちはもう成人しているはずだけど、奥さんとしたら定年退職して、コロナもそろそろ落ち着いてきて旅行とかこれから行けるかな、とか思ってたんじゃなかろうか。
コロナ禍の2年が恨めしいだろうな。
いや、それだけじゃないよな。
このところ、月日の経つ早さに気持ちがついていけてない。時間は無限じゃない。一日一日大切に。そんな気持ちを込めながらの絵本ノート記録。
ところで、この本を翻訳した方の肩書にも感心してしまった。短大の英語科をでてから、看護学校を卒業、慶応大学文学部の通信を卒業した翌年に、また別の看護学校を卒業。アメリカに渡って大学院で看護学を勉強。どんだけのバイタリティ。
なんか違うよな、と思いながら流されて生きてきている自分の何もない経歴と比べてしまうと、ゾッとして息苦しさすら感じてしまう。くーーー、うらやましい。その活力。その実行力。
ボーッと生きている場合ではない。
と、思いつつ、なにを、なにからやったらいいかわからない。とりあえず皿洗いと在宅勤務の夫の昼ごはんを支度をして、赤子をしょって第1子を保育園にお迎えに行こう…。