mimiriのブログ~要領悪くても終わればいいさ~

アラフォーで子ども2人出産し、日々の思うことを書いてます

「野生動物にエサを与えてはいけない」の境界線について

先日、近所の公園を通りかかったら久しぶりに知り合いのママ友を見かけた。

大好きな方なので、出がけで時間がないものの、久しぶりに会えたのがうれしすぎて思わず声をかけた。

 

彼女の子どもが鳩に餌をあげていた。最近これにハマってしまっているのだという。

聡明な彼女は野生動物に餌を与えてはいけないことを充分に理解しているが、イヤイヤ期真っ只中の彼女の子どもは言うことを聞かないらしく、どのくらいまでならOKか悩みつつ、1粒ずつ自分の子に渡しているのだという。

 

大手を振って餌をやれるところとしたら、どこがあるだろう?と聞かれたので、

神社とか?庭園で鯉に餌を与えるところならありそうじゃない?とテキトーなことを言って、じゃまたねー!!と、ぱーっと彼女と別れた。

 

別れ際に振り返ると、彼女の子が餌を一粒地面において、鳩がくるのをじっと待っている姿が何とも愛らしくて、生き物への興味や慈しみという好奇心と優しい心を大事にしつつ、社会のマナーやルール、生態系の問題とのバランスを親としてどう取るか、ぱーっと別れたものの、後々考えされられてしまった。

 

折しも、今ちょうど図書館で借りている本に「ぎんいろのねこ」(あまんきみこ作・えがしらみちこ絵)という、H1号がとても気に入って読んでいる本があり、私もしみじみといい話だなぁ~と思っていたが、ラストシーンでノラネコに餌をあげているのを思い出し、いやはや餌やりの境界線ってどこで引いたらいいんだか、と悩んでしまった。

 

たとえば、公園でパンを食べていたときに、こぼれたパンくずに小鳥が寄ってきたとする。これはセーフだな、と思う。わざわざあげているわけでなし、仕方がない。

一方で、食べているパンをちぎって小鳥に投げるとする。これはアウトだな、と思うが、どこまではOKなのかという賛否両論はありそうな話だとも思う。

 

そういえば、うちの実家では、よく母がカビの生えてしまったミカンを枝に刺して「これは小鳥さんにあげよう」と言っていた。庭の木になっている果物も、手の届かない高さにできたものは「小鳥さんにあげよう」である。

自分の敷地内において、飛んでくる鳥にどう対処するか、という話で、ゴミとして捨てるくらいなら生き物の糧にしてもいいかな、と思う。というか後者は届かなくて取れないのだから、セーフというかどうしようもない話で、いわゆる里山の「生き物との共生の話」である。

 

実家にH1号を連れて帰ったときに、母はまだうまく食べられないH1号が床にこぼしたパンやら野菜やらを掃除しながら「これは小鳥さんにあげよう」と言っていた気がする。

これも落としてしまってゴミになるものだし、自分の敷地内でのことなのでまぁセーフかな、と思うが、もし今後うちに帰ってからH1号が「ことりしゃんにあげるのー」とか言い出したらどうしよう。マンションの窓から放り投げるわけにいかないし、ベランダは洗濯物を干していて鳥に来られては困るので、ダメだと教えることになる。

 

神戸大学のキャンパスにはイノシシが出るが、入学ガイダンスでは「絶対にイノシシに餌をあげるな。ウリボーがどんなにかわいくても、あげるな」と説明があるのだと知人から聞いたことがある。人を襲ってケガをするので、危険なのだ。イノシシは。

 

夫にこの話をしたところ、「俺はそもそも常に腹が減ってるから、自分の食べ物を減らしてまで動物にあげる気はない」と言われた。「ぎんいろのねこ」も、彼にとっては「いい話だけど、うちでは牛乳が余るってことは絶対ないな」という感想である。

欠食児童じゃあるまいし…全然別の次元の話だが、こういう家庭では動物に餌をあげる、という発想自体が結果的に生まれない。

 

結局、社会のルールもさることながら、ポリシーの問題である気もする。

 

鳩に餌をあげる、というシチュエーションを考えていたら、ふと槇原敬之の「ハトマメ」という歌を思い出した。鳩豆を自分で食べている外国人に、それは鳩が食べるもの、と教えたいのに何も話せず、英語を勉強しようと決めた、という歌である。

国際交流やら海外旅行やらに興味があった時だったので、当時とてもよく聞いていたのを思い出して、久しぶりに聞いてみた。

 

浅草寺で鳩豆、とマッキーが歌っている!

件のママ友に、浅草寺やってるかもよ、と連絡してみよう。

20年近く前の曲だし、コロナで観光客がいなくなっているだろうし、衛生面の観点からも廃止されている可能性は充分あるけど。

 

ちなみにこの曲の2番に出てくる奈良公園の鹿は、鹿に囲まれすぎて悲鳴をあげている観光客を何度も見ているので、子どもがかなり大きくなるまではオススメできない。

春先のバンビたちには癒やされるけど、動物が嫌いになりそうなくらいけっこう危ない。余計なことながら、この歌と共にそれも彼女に伝えよう。

 

#ハトマメ

#ぎんいろのねこ