香りをネット検索する
どんなにウェブ検索が発達しても、匂いそのものは検索できない。
言語化されたもの、あるいは静止画像でないと検索できない。
「こんな香りですよ」と説明を読むことはできても、実際にどんな香りなのかウェブ上で嗅ぐことはできない。そんなことを実感した一件の話。
かなり前の話だけど、美容院に行ったときのこと。
シャンプー中に顔にかける布に香りをつけられます、3種類のうちどれがいいですか?と聞かれた。グレープフルーツ、ベルガモット、グリーンティーからお選びいただけます、とのこと。
私は頭痛持ちで柑橘の香りが時に引き金になるので、グリーンティーを選んだが、シャンプー中に「ところでベルガモットって、なんだっけ?」と気になって仕方ない。
シャンプーが終わってから、おずおずとベルガモットの香りについて聞いてみた。
「ライム系、ですかね。柑橘系です」とのこと。
なるほど。柑橘系なのか。
そうなるとグレープフルーツの香りとどう違うのかさらに気になるが、嗅ぎ比べるのはさすがにお願いできないよなぁ、と思っていたら、「ベルガモット嗅いでみます?」と言ってくれた。
おぉー、さすがサービス業やな。嗅ぎ比べまではできなくてもそれで充分だわ。
コットンにちょっとスプレーしたものをいただいた。なるほど、ライムといえばライムだわ。グレープフルーツとはちょっと違うわ。
それにしても柑橘系を2つ。ローズとかラベンダーとかお花系があってもよさそうなものを、柑橘系2種類って。と思うが、リフレッシュ系なのか、何か理由はあるんだろう。
家に帰って、夫に「ベルガモットってなんか知ってる?」と言いながら調べてみた。
「その香りはエレガントで、オレンジやレモンのような柑橘の香りとフローラルな香りも併せ持つ気品ある香りです」と、アロマオイルのサイトに書いてあった。
エレガントで気品ある香り、ってどんなや。フローラルな香りって言っても花の香りはいろいろあるやん。
香水などニオイモノが苦手な私としてはついついツッコミたくなる説明だけど、匂いそのものは検索しても文字化するしか説明できないので、そんなように書かざるを得ないのかもしれない。
検索している私の横で、夫のひとこと。
「だからオレのおならの匂いも検索されない」
それならどんな匂いか文字化して世の中にバラしてやる。
と、一瞬思ったが、文字化するためにはまずじっくり嗅がないといけないことになるのでやめさせてもらうわ。